2015年12月31日木曜日

秋田の年越し。

※今日の写真はクリックすると大きくなります※
東北新幹線車内にて
 「ほんのり屋」の
     ちりめん山椒と金目鯛の西京焼き 京むすび
     鮭いくらむすび
     牛タン青唐味噌むすび 1/2個
     鶏の竜田揚げ
 ほうじ茶
今日から秋田で年越し&お正月。
 
母の好きな「アンデルセン」の食パンと、あと年越し蕎麦(これは「小諸そば」の)を持って行くねと約束しているので、朝イチで東京駅界隈のお店に受取に。朝食は、駅構内の「ほんのり屋」であれこれ買って新幹線に乗り込んだ。
 
唐揚げ食べたいよねぇということで、1パック3個ほど入った唐揚げパックは1人1個。カウンターで「これとこれとこれを1パックに、あとそれとそれを1パックに」とまとめて貰って、1人1パックのおにぎりセットを作ってもらった。
 
私は、季節メニューの「京むすび~ちりめん山椒と金目鯛の西京焼き~」と、定番の鮭いくらと、ピリ辛味がなかなか良かった「牛タン青唐味噌」は、だんなと2人で半分こ。
 
秋田新幹線「こまち」は、車両の幅が狭めで、左右2列の広めの席。ゆったり座れて居心地良かったけれど、さすが年末、盛岡で空いた席にすぐ次のお客さんが座りに来るといった感じで、全席満席状態だった。
母宅にて
 近所のお店の鍋焼きうどん
 お茶
で、めでたく昼頃に母の郷里、角館に到着。
 
母の生家は母の兄が継いでいて、母が今住んでいるのは血縁的には「母の従姉妹」の家。でも私も子供の頃から「○○(地名)のおばちゃん家」と呼んで頻繁に訪れていた馴染みの家だ。姉妹2人で住んでいた「○○のおばちゃん」は、1人が既に亡くなって、残る1人も高齢で施設に入ってしまったので、今は母が1人でこの家に住んでいる。
 
今まではお客さんとして訪れているだけだったので、家の隅から隅まで歩くことはなかったこの家、食料庫になっている土間(この季節は普通に冷蔵庫と同じくらいの冷え具合)があったり、押入の中には年季の入った古めかしい真っ黒な箪笥があったりと、昭和初期から時間が止まっているようなモノが盛りだくさん。
 
「モノを捨てない人たちだったからねー」と、押入の中には昭和中期からの遺産のような、なんともレトロなタオルセットや食器、鍋(ほとんど全て引き出物などのいただきものらしい)も箱のままテトリスのように詰まっていて、母は日々、その片付けに精を出しているらしかった。
 
で、お昼は、近所の定食屋さんの鍋焼きうどんを母が注文してくれたので、それを皆で。
 
なんとお値段600円。
 
卵、海老のかき揚げ、鶏肉、かまぼこ、人参、椎茸、芹、と具材たっぷりで、暖房効いたあったかい部屋で、4人でもぐもぐ。
 
暖房設備が充実しすぎていて、居間などは明らかに千葉の我が家よりも暖かいくらい(なんなら半袖でも良いくらい)。
 
でも、廊下や人気のない部屋の温度は「ここは冷蔵庫ですか?」という寒さで、田舎の家ゆえの広さの分、トイレへの道のりがしんどかったりして。
オードブルセット
きんきんの塩焼き
鴨南蛮そば
ビール(角館麦酒)
日本酒(秋田 新政酒造 新政 生成(エクリュ)2014 純米 酒こまち)
そして夕方、私が注文しておいたおせち料理が無事届き、それより少し前に届いたのが、母が地元の仕出し料理屋さんに頼んでいたのだというオードブルセット。
 
「ちょっと奮発したけど、4人前の料理なのよ?」
と母は言っていたけれど、それがとんでもない分量だった。
 
扇形の皿が5つ円形に並んで、中央に丸皿。直径70cmはありそうなその巨大皿盛りの下には回転テーブルがついている。更に、それとは別に「きんきんの塩焼き」。
 
「このへんではね、大晦日にこのお魚を食べるのよ」
私は嫌いなんだけどねー、と言い切る母。
 
この地方の呼び名が「きんきん」で(「きんき」じゃないのよ)、一般名称は「キチジ」というものらしい。見た目は赤く、目玉が大きく、金目鯛に似た魚。調べてみたらカサゴ目フサカサゴ科の魚なのだそうだ。
 
母曰く、「脂多くて、ゲロゲロしてるでしょ?だからあんまり量食べられないしねー」だそうで(ゲロゲロって……)。
 
味は確かに、カサゴの仲間という感じ。脂の乗った白身の魚で、確かにこれは年配の人にはきついかなぁ。私は、秋田の魚といえばコレ、の「はたはた」同様、けっこう好みなのだけど。
 
巨大なオードブル皿は、中央の丸皿が焼き魚、筍の味噌焼き、金柑、ごまめ、黒豆などが盛られた正月料理。扇形のは、刺身盛り、お煮染め(鯉とかすべ、姫筍や山菜など、この地方でメジャーな具材の)、海老フライ、フライドポテト、海老のオーブン焼き、蒸し蟹などの魚介皿、酢豚、ローストビーフ、オマール海老のグラタンなどの洋風&中華皿、ビーフシチュー、ナポリタンスパゲティ、ステーキ、海老チリ、魚のカツなどの、洋風&中華皿その2、といった内容だった。
 
確かにどの料理も4の倍数詰まっていたから4人前なのかもしれないけれど……明らかに分量がとんでもなくて、
「なんかすごい料理キター!」
と驚く私たち。
 
料理は適宜温めつつ、お酒は東京で買って持参した、秋田のお酒「新政」を。
 
「代替わりした新政、すごい美味しいんだよー」
と母に伝えておいたら、母も地元の酒屋さんで探してくれていたみたいだけれど、もう人気すぎて、地元秋田の酒屋にも回ってこないのだそうだ。都心でなきゃ買えない地酒というのも、なんだかなー、なんだけど。
 
料理、なんだか海老がやたらと多かったものの、肉も多いし洋風料理もたっぷりだしで、皆それぞれ好きなものをつつきまくって、すっかり満腹。
 
煮物には、「サク」と呼ばれているのだという山菜も入っていた。正式名称は「エゾニュウ」、他の地域では「エニョウ」と呼ばれることもあるそうで、見た目は若いフキのような筒状の細い茎。
 
ほんのり苦みがあってシャクシャクとした歯触りで、面白い山菜だった。
 
年越し蕎麦は、我が家の定番「鴨南蛮」。 今年は居間のテレビでだらだら紅白歌合戦など見つつ、9時になったあたりで、持参した鴨(マグレドカナール)を焼いて、持参した生蕎麦を茹でて、年越し蕎麦。
 
母は日本蕎麦が嫌いだそうで、だから「じゃあ蕎麦好きな私たちが支度するよ」と材料含め、持参した。
 
鴨は塊のまま焼いてからスライスして、鴨の脂で焼いた長ねぎも一緒に、そばだしに。
 
「マグレドカナール」は、フォアグラを取った後の鴨肉だから、とにかく脂がたっぷりで、味も濃厚。今日の鴨も美味しく焼けて、そばだしは、いつも通り、良い感じのこっくり味になった。母には焼いた鴨だけを数切れ小皿に盛ってプレゼント。
 
やっぱり自宅ではないから「ああ、我が家にはこれがあるのにー」という調理器具がここにはなかったりして(というか、我が家が調理器具揃いすぎなのでした)、でもだんなが工夫して「そば湯」の支度もしておいてくれた。
 
外は千葉の家と比べものにならないくらい静かだけれど、家の中は暖かで賑やかな年越し。